本 インディアンについて
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大航海時代の新大陸発見の時代を当時に現地で過ごし、深く関わった司祭ラス・カサスが書いた歴史書です。
学校教育などによるとコロンブスは西廻り航路でインドを目指した結果アメリカ大陸にぶつかって新大陸発見となった、という程度の知識になるでしょうか。
そこがユーラシア大陸でなく新大陸であったときに西洋人がどう考えたかはキリスト教について多少知らないとよくわからないようです。
キリスト教では人間の身体は魂の入れ物のようなもので、キリスト教徒として生きてこそ人間なので新大陸にいたインディアンのような人々にキリスト教の教えを広めてキリスト教徒にすることが神の教えに叶い人々を救済する道でありキリスト教徒の努めであるということのようです。
ではコロンブスの立場はというと彼の航海計画は中々理解されず苦労してイスパニアの王に援助をもらい航海にこぎつけました。コロンブスとしては新大陸を発見したとはいえこの航海と発見が有益なものだったとして国に利益を挙げさせ続ける必要がありました。(中々援助を得られなかったことでもわかるようにこの冒険に援助をすることに反対な人々も沢山いたということです)
さて、いざ航海に行くとなれば船乗りがいるわけですが、この行き先の見えない危険な航海に喜んでいく人は中々いないわけで犯罪者やらなんやらの荒くれ者をかき集めたようです。
そうして新大陸へ到着したときに出会ったインディアスの人々は大変善良で穏やかな人々だったそうです。
彼らに助けられながら冒険し、国に利益を返せるものを探します。そしてそこで金を見つけ、採掘することになっていきます。
イスパニアの人々はここで生活したり金を採掘したりする労働を結局インディアスの人々にやらせる、という方法をとります。インディアスの人々は裸同然で暮らし棍棒や弓矢程度のものしかもっておらず、防具をつけ鉄の武器や銃をもったイスパニア人に逆らうことはできませんでした。
この時点でキリスト教への教化もくそもない状態でしたが利益を出さなければならないコロンブスは止めることはできません。本国への報告では「インディアス達は無知で粗暴で怠け者で我々がしっかり面倒を見なければいけない」ということになり公然と奴隷化して次々に過酷な労働で殺していくということになりました。次々と死んでいき数が減ると船で繰り出してはインディアンを騙し襲っては奴隷にしていきました。
筆者のラス・カサスによればエスパニョーラ島には初め3~400万人はインディアスがいましたが10数年でほぼいなくなったそうです。その後キューバ島など周りの島々も同じ運命をたどり、それが大陸へ続いていったということですね。
ラス・カサスはインディアンを救うために長く活動しますが欲にまみれた人々を止めることは容易ではありませんでした。
全七冊で長いですが、それでもこの文庫版は3割位省略があります。
岩波の「大航海時代叢書」の中のものは省略がないようです。
「大航海時代叢書」も気になりますが全42巻だそうで趣味で読むには中々ですね。
史上最強のインディアン コマンチ族の興亡 上巻 最後の英雄クアナ・パーカーの生涯 中古価格 |
新大陸発見からインディアンの受難が始まりますが、こちらの本はそれから400年ほどたち大陸でのインディアンの最後の抵抗の物語です。
アメリカ大陸へ次々押し寄せ土地を侵食していく白人達と、その土地で暮らしてきたインディアン達がぶつかります。
最終的にはインディアンが白人社会へ降ることになりますが、黒人の問題と同様に現在でも丸く収まったとはとても言えないでしょう。
それにしても「インディアス史」も「コマンチ族の興亡」も中々な残虐シーンが多く、人間の恐ろしさが凄いです。歴史を勉強して人間がどうしたときに残虐になっていくのか知らないといけませんね。
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作者のトム・ブラウン・ジュニアは自然で過ごすのが好きな子供だったそうです。そして友人の祖父のインディアンの古老と出会い、自然やインディアンの技を学んでいったそうです。
のちにはその技で犯罪捜査にも活躍されたそうで、それについての本もあるようです。
この本、とても面白いですが絶版のようで、この作者の他の本も読みたいですが中々見つかりません。
最近は検索しようとすると芸人が出てきます。