本「新しい人よ眼ざめよ」大江健三郎
新しい人よ眼ざめよ (講談社文芸文庫) [ 大江 健三郎 ] 価格:1,760円 |
これは有名な方ですね。知的障害のご長男との生活の短編連作です。
障害児を持つ父としてのシンパシーがある、なんてことはないんですが、興味を持つきっかけにはなりますね。
障害児の親の本とかノンフィクションみたいなのもありますが、本職の作家がその内面をえがいてくれるとまた一味違いますね。
ただ、詩人ブレイクの詩を核にして書かれているのが特徴なんですが、そこが私のようなアホには結構難解なのでした。それで読んだと言えるのかと言われてしまえばそれまでですな。
後半に死を目前にした友人が、自分の罪は許してもらうしかない、人のことは許すことしかできない。というような話をする場面があるのですが、たまたまこの前に色川武大の「怪しい来客簿」を読んでいてその中にも、人は誰かを助けることなどできない。ただ許すことができるだけだ。というようなところがありました。
世の中どんどん複雑になって色々な問題が起こって面倒になってますが、結局のところ、色々な人がいてお互いに許し合って受け入れていくことが解決なのかもしれませんが難しいですねえ。
まずは自分の周りの人達を、なにかあったとしてもとりあえず許す、というところからなんですよね。