昭和のおっさん

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本「にんじん」ジュール・ルナール

にんじん (新潮文庫 新潮文庫) [ ジュール・ルナール ]

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インパクトのあるタイトルは主人公が母親につけられたあだ名です。

にんじんは母親に虐待されながらも健気に生きていき、徐々に自立していきます。

100年以上前の古い本ですが歪んだ家庭の家族関係は現代でもそのまま通用する内容です。

といっても小難しい本でもなく、短いエピソードが続き、文章も平易で読みやすく面白いです。

本「ある奴隷少女に起こった出来事 ハリエット・アン・ジェイコブス

ある奴隷少女に起こった出来事 (新潮文庫) [ ハリエット・アン・ジェイコブズ ]

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200年くらい前、日本は江戸時代ですね。アメリカ南部には奴隷法がありました。

実際に奴隷だった作者のドラマティックなノンフィクションです。

昔の文章なわけですが、訳文が平易でとても読みやすいです。

大航海時代以後続く黒人の迫害の歴史はいつの時代もひどいものですが、リアルな当事者の話は迫力があります。この作者は幸運にも逃亡に成功して自由になりますが、捕まった奴隷がどうなるかの話も書かれており無数の悲劇があったことが伺われます。

奴隷所有者の白人の暴虐と奴隷の悲劇が書かれているわけですが、それだけではありません。白人の中にも黒人を人間として付き合い助ける人もいるしスパイのように白人に協力する奴隷もいます。作者が強調するのは「奴隷法」というものの邪悪さです。

有名な刑務所の実験で、囚人と刑務官を芝居させるとそれぞれが過剰適応して虐待が始まったりするというのがありますが、つまり「奴隷制」という制度が人間の残虐さを引き出してしまうのですね。

現在も感染対策などで喧々諤々ですが「ルール」に縛られて安易に批判するというような方向に行きがちですね。なにが正しいのか本質を考えつづけないといけませんね。

近況

随分放置してますがだらだら生きてます。

ここ半年くらい大江健三郎をずっと読んでましてあと2、3ヶ月で大体読めるかな。

記事見たら半年前にノイスポッターの反重力装置作ってますが、今も作ってます。

子供は養護学校に行ったり行かなかったりのらくらしてます。

嫁は順調に働いております。

本「罪と罰」ドストエフスキー

罪と罰(上巻)改版 (新潮文庫) [ フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス ]

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有名な本を適当に選んで読む、という読み方を結構します。

有名な本って大概面白いですからね。

こちらも大変な名作で結構なのですがそこそこ長く、そして人名が非常にややこしいという読みづらいところがあります。

間を空けて読むと名前を見ても誰だかわからなくなるのでできるだけ急いで読みましょう。

出てくる人物の半分くらいは結構な不幸に見舞われてるのですが(多少ネタバレになりますが)スヴィドリガイロフさんはちょっと不憫じゃないですかね。

たしかに本人も好色だったり狡猾だったりするところもありますが、あまりな美女に目がくらんだりすれば悩乱する男はめずらしくないだろうし結構人助けもするし最後に始末を付ける前ですらお金を配って回ったりしてますし。

こんな名作がなんと青空文庫で読めてしまう。いい時代ですね。

ドストエフスキーもうすこし読んでみます。

模型 マシーネンクリーガー ノイスポッター 12

久々ですが色々あれで停滞してましたが続き。

反重力装置のとこですね。ここのはめ込みの溝を彫るのに苦労して2000円だしてタガネを買ってみまして掘れるようになりました。道具大事。

仮組みしてみるとこんな感じ。まだ各パーツだいぶ仕上げしないといけないけどまあまあ良くない?

本「新しい人よ眼ざめよ」大江健三郎

新しい人よ眼ざめよ (講談社文芸文庫) [ 大江 健三郎 ]

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これは有名な方ですね。知的障害のご長男との生活の短編連作です。

障害児を持つ父としてのシンパシーがある、なんてことはないんですが、興味を持つきっかけにはなりますね。

障害児の親の本とかノンフィクションみたいなのもありますが、本職の作家がその内面をえがいてくれるとまた一味違いますね。

ただ、詩人ブレイクの詩を核にして書かれているのが特徴なんですが、そこが私のようなアホには結構難解なのでした。それで読んだと言えるのかと言われてしまえばそれまでですな。

後半に死を目前にした友人が、自分の罪は許してもらうしかない、人のことは許すことしかできない。というような話をする場面があるのですが、たまたまこの前に色川武大の「怪しい来客簿」を読んでいてその中にも、人は誰かを助けることなどできない。ただ許すことができるだけだ。というようなところがありました。

世の中どんどん複雑になって色々な問題が起こって面倒になってますが、結局のところ、色々な人がいてお互いに許し合って受け入れていくことが解決なのかもしれませんが難しいですねえ。

まずは自分の周りの人達を、なにかあったとしてもとりあえず許す、というところからなんですよね。

本「天才が語る サヴァン、アスペルガー、共感覚の世界」ダニエル・タメット

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作者は円周率を2万桁以上暗唱したり1周間で新しい言語を覚えたりするアスペルガーサヴァンな方です。

本の題名からは「天才」の話なのかなと見えますが、主題は人間の知能、知性とはなにか、人間の脳の素晴らしさなんてところでしょうか。

作者が円周率を覚える際の脳の働きはコンピューターに例えられることが多いが、実はより人間的なんだと言います。作者のもつ共感覚の中では数字の連なりは多彩な風景のようなもので、それは普通の人がコミュニケーションの中で瞬時に相手の話を理解し、複雑な文章で返事ができるような人間的な能力だと言います。

作者はサヴァンとしてすごい記憶力の持ち主と言われていますが、人の顔を覚えることが苦手なんだそうです。いわゆる普通の人が何百人もの人の顔や名前や特徴を覚えているのも実はすごい記憶力なけですね。

人間の能力や多様性のすばらしさがわかる面白い本です。

ところでこの本の主題とはすこしずれますが、この本は10数年前の本です。

この本の中ではコンピューターがチェスのチャンピオンに勝った話がでますが、この時点では囲碁ではコンピューターは人間に全然敵いませんでした。

それについて「専門家は囲碁で人間に勝つにはあと100年はかかるだろう」と締められています。

実際にはこの数年後には人間はあっけなく追い越されました。

いわゆる「専門家」の予想というのが当てにならないところがあると思わされるエピソードだなと思いました。

現状をみても感染症なり戦争なりで「専門家」が話すことが未来を正確に予測しているとは言い難いですし、あまり人の意見に踊らされずに冷静に生きて行きたいものです。