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本「失われた時を求めて 9」プルースト

失われた時を求めて(9) ソドムとゴモラ II (岩波文庫)

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(2022/1/5 21:02時点)

前巻に続いてバルベックで過ごす「私」です。

スワンの恋」でブルジョアの二流サロンとして出ていたヴェルデュラン夫人のサロンが再び登場。時を経て多少評価されるようになったサロンですが相変わらず上流貴族とは接点を持てていません。そのサロンでの様子が多く書かれますが、この巻の中心はやはりシャルリュス男爵です。正真正銘の社交界の大物のシャルリュス男爵ですが若い色男を追っかけてヴェルデュラン夫人のサロンに入り込みます。このサロンでは男爵の社交界の地位を誰も知らず軽く扱ってしまいます。しかし男爵もこのサロンの人々など所詮社交界の人々ではないと鷹揚にかまえ時々嫌味を飛ばしたりする程度で過ごします。そうかと思うとサロンの人々は男爵の同性愛趣味を噂に聞いており目配せし合ったりするのに男爵は相変わらずうまく隠しおおせていると信じて堂々と過ごしていたりします。そんなふうに各人の微妙な立場や雰囲気を細やかに書いてサロンの雰囲気を感じられます。

「私」とアルベルチーヌは頻繁に会いつつ「私」はなにかれと嫉妬に駆られたりもしますが「私」はそれほど真剣には考えておらず、終盤で「そろそろ別れようかな」なんて思ったところにちょっとした事件が起こり嫉妬でアルベルチーヌに囚われてしまうところで次巻に続きます。