昭和のおっさん

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本 「いつかの夏」 大崎善生  「よろこびの書」 ダライ・ラマ デズモンド・ツツ

いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件 (角川文庫) [ 大崎 善生 ]

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「聖の青春」が有名な大崎善生のノンフィクション。

理不尽な誘拐殺人の話なので内容はかなりきついです。

事件の内容とともに死刑制度のあり方についてがテーマです。

作者はこのような凶悪事件の犯人は当然死刑になってしかるべきである、としています。この本を読んだ多くの人もそう考えるのではないかと思います。

私自身は死刑について賛成か反対かは軽々しく言えませんが、被害者の母親が犯人を死刑にするために活動するのを「それは間違っている」などと意見はとても出来ません。

よろこびの書 変わりゆく世界のなかで幸せに生きるということ [ ダライ・ラマ14世 ]

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有名なダライ・ラマキリスト教大司教デズモンド・ツツは二人共ノーベル平和賞を受けた方です。お二人が対談し人生のよろこびについて話しています。

こう書くと日本人は宗教アレルギー気味なので鳥肌が立つ方が結構いられると思いますがこのお二人は宗教的な観点で語るというよりは人々が幸せに生きるためにはどう考え行動するとよいのかを追求する科学者のようです。人間の心や精神のありようについてとても高い知性を持っておられるだろうお二人が人間が幸せを感じ続けて生きていく方法は人のために生きること、人を許し人の幸せを願って生きることだと言われます。

ダライ・ラマチベットと中国についての話はここには書きませんが、ダライ・ラマは徹底して戦わず恨まず話し合いで解決しようとし続けています。

この本は対談で読みやすいしおすすめです。

 

ということでこの二冊の本の内容が理想と現実のようで・・・となりそうなんですが最近はもう少し考えてしまいます。

「いつかの夏」の犯人のような凶悪犯は色々な障害や病名がついたりします。統合失調症とか双極性障害とかパーソナリティ障害とかサイコパスとか発達障害や知的障害等々。それが生まれついてか異常な生育環境などによってかなど色々あるとは思いますが何れにしても物心ついたときから「普通」でなく「普通」にできないまま反社会的に生きていくことになってしまうというコースがかなりあるのではないでしょうか。

こういう人はどこまで自分の力で「普通」の範囲内で生きられるのでしょうか。「普通」に生きられずに反社会的になることと重度の知的障害で悪気など感じずに逸脱行為をしてしまうことはどれくらいの違いがあるのでしょうか。

自分でなんともならないんだから悪くない、なんてことを言っているわけではありません。大多数の「普通」の人からすれば理由の如何にかかわらず反社会的な人は排除したい、と単純に結論してしまいがちなのではないかということにもう少し突っ込みたいだけです。

「普通」の人は「普通」目線でしか考えないことが多いように感じますがもし自分が「普通」に生きることが難しい人間に生まれて周りの全てに排除されて居場所がなくなったときに「自分はこの世に合わない生まれついての悪人なんだな」と納得して自殺したりおとなしく捕まって納得して死刑を受けたりするんでしょうか。それがそういう人たちの辿るべき正しい道なんでしょうか。

私だって生まれついての猟奇殺人者と上手くやっていけるわけはありませんが「反社会的だから排除する」は「役に立たないから排除する」「優秀じゃないから排除する」と簡単に優生思想につながるんじゃないでしょうか。

「こいつとはやっていけない」「こいつは排除したほうがいい」を続けるとそのうち自分が排除される側になることもあると思いますがその時「しょうがない」と納得して排除されるのでしょうか。

知的生命体の行き着く先にしては残酷で間抜けな気がしますが。