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本 「発達障害と感覚・知覚の世界」

発達障害と感覚・知覚の世界 (発達障害の新知識シリーズ(仮))

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「人間と発達を考える会」という会の先生方の講演をまとめた物ということです。

いきなり最初の章がフッサールの哲学の話とかで難しくて中々ですが内容は興味深いです。あとの章は感覚・知覚の話や発達障害の方々の話になっていきます。

発達障害というと「生まれつきのもの」「脳の機能障害」「直らないもの」という感じで捉えがちですが、多くの問題は認識の学習の遅れから起こるというようなことらしいです。

人は生まれて知識が入るまでの感覚の世界では「見たまま」「聴いたまま」なわけで、そこから親などとのコミュニケーションの中で「これはご飯だよ」「花が綺麗だね」とか親の声を聴き取ることだとかで、感覚のうちのどこに注目するのかを学んでいくのだそうで、そこで躓いてしまうと色々問題が出てしまうわけですね。

例えば視覚なら、人の顔が見分けられない、覚えられない。これは人の顔の動き、表情を学べなかったりどこに注目するのかがわからず見分けがつかなかったり覚えられなかったりするわけですね。

聴覚なら、必要な音を選べないのですべての音がまとめて入ってきてしまい聴覚過敏になってしまい、そうなると特に嫌な音、気になる音ばかりを拾ってしまい不安を増大してしまう、ということですね。

こういった問題が多いと普段から不安や緊張を抱えて生きることになってしまい、しかもその不安の共有ができない(不安の正体自体がわからない)ので、その本人なりの対策としてこだわり行動となってしまう、という感じにつながってしまいます。

こういった不安感や緊張感はアスペルガーの方では目立つことが多いけれど自閉や知的障害などにも当然あるはずで、ダウン症の方などに多い人懐こさも根本にこうした不安感がある場合も考えられるのだそうです。

実際の対応の難しい方の臨床の話なども参考になるので、興味のある方はおすすめです。