本「発達障害に生まれて」松永正訓
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作者は医者で障害系のノンフィクションを書かれている方なようです。
内容的には自閉症の息子さんとその母のノンフィクションで、その説明だとタイトルそのまんまですね。
以前に紹介した矢幡洋の「数字と踊るエリ」なんかも近いですね。
違いはこの本は第三者のプロが書いているところですね。その分視点が広いし説明がわかりやすいです。
リアルな自閉症児のことやその生活も伝わりますがメインは障害児をもった母(家族)の葛藤や障害の受容についてです。
「普通」でない子どもを持つとまずは「普通」にいかに近づけるかと考えがちです。
しかし自閉症等のような障害を持つ方が「普通」になることはありません。
ではそもそもなぜ「普通」にしたいのか。それは「普通」であることが幸せな人生への道だと考えているからです。「普通」である親や家族は最初、その視点しか持っていないわけです。
しかし「普通」でない方の幸せな生活は「普通」の生活の中にはありません。
結局のところ大事なのはいかに人生を幸せに過ごせるか、なわけです。QOLというやつですね。
すると「普通」でない方のQOLを上げるには、その方の特性に合わせた環境を作ることになっていきます。
初めは「障害」をなんとかしようと躍起になるのですが、結局変えるもの、変えなければいけないことは障害者をとりまく周りの人や環境のほうなのでした。
ということではあるのですが、障害児を持った家族でさえ障害を「受容」するというのは難しいことであるのに、身近に「障害」のようなものがない一般人に知識を広めて受容を深めるということは殆ど夢物語のようでもありますね。
人がそこまで寛容になれるならたいへん平和な世界ができそうです。