本「発達障害と少年犯罪」田淵俊彦
中古価格 |
NHKで放送したテレビが元の本だそうです。テレビの放送時には「発達障害は少年犯罪につながる」とストレートにとられて批判が多かったそうで、この本でもう少し詳しく伝えたい、と書かれたそうです。
そうは言ってもそれほど分量のある本ではないし、発達障害、ASDの説明から入ったりするわけで、色々読んでからみると大分駆け足な本に感じます。
しかし一般人がいきなり専門的な本を読むなんてことはあまりないわけで、読みやすい形で色々知ってもらうというのはとても大事なことですね。
内容としては、発達障害、特にASDの認知力の弱さや執着などに適切な扱いがされず、虐待やいじめなどが重なると少年犯罪に繋がりやすい、というところです。
私的に面白かったのは少年たちへのインタビュー部分ですね。ASDの特徴を学術的な文で読んでも中々実際の雰囲気とつながりにくいものです。実際のやりとりをそのままに近い形で書いているのでASDの奇異さ、めんどくささみたいなものがわかります。(私は実際に毎日触れ合っているから、というのも当然ありますが)
たとえば、ゲームの説明で先生が「○○したら手を叩いて・・・」と言ったところで「誰が叩くんですか」なんて言ったり「手を叩くときは叩けないから鉛筆は下において・・・」と言うと「持ったままでも叩けますよ。ほら」なんて言ったりします。
物事のどこが重要か、どうすると普通でどうすると普通じゃないか、という判断がないので「細かすぎるマニュアル」みたいに説明しないと延々質問してきたりします。
実際に話してみるとわかりますが相手するととても疲れます。
家族や子どもですらすぐいやになっちゃうくらいなので、これが「先輩後輩」とか「上司部下」なんて関係だったらすぐ破綻するのはおわかりでしょう。
ASDの方はまったく悪気などなくこれをやって、嫌われまくる人生を送ったりしているわけです。
健常者と障害者の行き違いが続いて、お互いが傷ついて挙句の果てに障害者が犯罪者になって更にお互いを傷つける、なんてことになっているわけですね。
ただ「障害者の問題」ではなくて周りの健常者に関わりのある問題でもあるわけです。
そんなわけで知識、情報が増えて理解者が増え、支援が行き届くようになってほしいですね。